ガス給湯器の安全装置とは?種類とそれぞれの役割をご紹介
ここではガス給湯器の安全装置について詳しくご紹介いたします。それぞれの種類や役割についてもご紹介いたしますので、ぜひご確認下さい。
不完全燃焼防止装置
この不完全燃焼防止装置は平成元年に国から義務化されたものであり、小型湯沸かし器等、屋内に設置されているガス給湯器の場合、不完全燃焼が起きた時に一酸化炭素中毒を起こすことがあります。そのため、機器内にある2ヶ所のセンサーで温度を測定し、その温度差から不完全燃焼を判定してガスをストップ、ガス給湯器の運転を緊急停止させます。
また、平成20年4月以降に製造された瞬間湯沸かし器には、3回連続で作動すると点火できなくなる「再使用禁止機能(インターロック)」が搭載されています。
立ち消え安全装置
「立ち消え」とは、火が燃え尽きずに途中で消えてしまうことです。炎が出ていない状態でガスが出続ける状態を防ぐ装置が、立ち消え安全装置です。立ち消えを検知するとガスの供給を停止させます。
空焚き安全装置
ガス給湯器内や浴槽に水がない状態でお湯を沸かすことを「空焚き」といいます。空焚きは機器本体の温度が高温になり非常に危険です。空焚き安全装置はガス給湯器の空焚き状態を検知すると自動でガスを止め、運転を停止させます。
過熱防止装置
ガス給湯器は経年劣化や故障等の異常で本体が熱くなりすぎることがあります。この過熱防止装置はそういった事態を回避するために、ガス給湯器本体の温度をチェックし、上がりすぎた場合はガスの供給を止めて安全を維持します。
過電流防止装置
過電流防止装置は安全に点火できるように正常な電流が流れているかどうか確認する装置です。過電流が起こった場合、ガス給湯器本体が故障するのを防ぎ、自動的に電源を切ります。
凍結防止装置
北海道等の寒冷地では、冬にガス給湯器が凍結してしまい故障することがあります。そのため、ある一定の温度になるとヒーターを動作させ、器具内の水を温めて凍らないようにする装置が凍結防止装置です。外気温が一定以下になると自動的に機器内を保温し、自動ポンプ運転を行い配管の破裂などの機器故障に繋がる凍結を予防します。尚、節電等で給湯器本体のコンセントを抜いてしまっていたりすると、この装置は作動しないため注意が必要です。
もし、配管内部で水が凍ってしまった場合、自然に回答されるのを待つのが安全ですが、どうしても急ぎの場合、配管にタオルを巻きその上から30~40℃程度のぬるま湯をかけたり、ドライヤーや低温のカイロで温める等の方法で配管を温めれば復旧します。
停電時安全装置
ガス給湯器でガスを燃焼させている時に停電が起こった際、ガスの供給を強制的に止めます。再通電時も点火しないように働き、思わぬ事故を防ぐのが停電時安全装置です。
ガス給湯器以外の安全装置
上記でご紹介の安全装置はガス給湯器に内蔵されているものとなりますが、ガス給湯器にかかわるその他の安全装置としてガスの供給を制御するガスメーター(マイコンメーター)と電力の供給を制御する分電盤があります。
ここからはそれぞれに搭載されている安全装置についてご紹介致します。
ガスメーター(マイコンメーター)の安全装置
ガスメーターには大きな地震を感知たり、一定時間(約60分程度)以上ガスが流れ続けるといった異常を検知するとガスの供給が自動で停止する安全装置が搭載されております。この場合ガスが流れなくなってしまうため、ガスメーターの表示ランプが赤く点滅を確認した場合は復帰作業を行いましょう。 ガスメーターは、以下の方法で復帰させることができます。- 1.全てのガスの使用を中止します。
- 2.ガスメーターの「復帰」ボタンのキャップを左に回して外します。
- 3.復帰ボタンを奥まで押し込み、ゆっくりと手を離します。
- 4.赤いランプが点灯した後、再度点滅が始まるのでそのまま3分ほど待ちます。
- 5.赤いランプの点滅が消えるとガスが使えるようになります。キャップは元に戻しておきましょう。
上記の作業を行っても、復旧できない場合はガス供給会社に連絡をおすすめいたします。
分電盤の安全装置
分電盤には家全体の電気の使い過ぎを察知して作動するアンペアブレーカー、漏電を察知して作動する漏電ブレーカー、場所ごとの電気の使い過ぎを察知して作動する安全ブレーカーの3種類の安全装置が搭載されております。これらのブレーカーが作動した場合、電気が使えなくなってしまうため、復帰作業を行う必要があります。
ブレーカーが落ちてしまったときは以下の方法で復帰させる事が出来ます。
- 1.3種類全てのブレーカーのスイッチを「切」にする
- 2.コンセントから電気製品の電源プラグを外す
- 3.アンペアブレーカー・漏電ブレーカー・安全ブレーカーの順番でスイッチを「入」にする
- 4.外した電気製品の電源プラグをコンセントに差し込む
尚、漏電ブレーカーが落ちた場合、電気製品の故障や電源プラグの劣化等の可能性が考えられる為、漏電している機器を見つけた場合は利用を中止し、漏電箇所が判らない場合は電力会社への連絡を入れましょう。
ガス給湯器の安全装置が作動した時の対処法
ここではガス給湯器の安全装置が作動した時の対処法についてご紹介いたします。素早く対処し、お湯が出るようにしましょう。
一酸化炭素中毒を防ぐために換気をする
屋内設置形のガス給湯器を使っていて安全装置が作動した際、最も気をつけなければならないのが「一酸化炭素中毒」です。一酸化炭素中毒とは、一酸化炭素を吸入したことにより血中で酸素を運搬するヘモグロビンと非常に強く結合し、身体の臓器に酸素が行き渡らなくなる症状です。症状としては頭痛や吐き気、急激な眠気等が起こり、最悪の場合死に至る危険な中毒症状です。
その為、安全装置が作動しガス給湯器の運転が停止した際には、まず、窓を開けて換気をするようにしましょう。臭いが残っている間は換気を続けて下さい。
尚、換気する際には換気扇の作動させない様、注意が必要です。ガス漏れが起こっていた場合、換気扇を含む電気製品の使用は火災に繋がり大変危険です。
安全装置が作動したことを知らせるエラーコード
ガス給湯器の安全装置が作動した場合、リモコンにエラーコードが表示されます。
それを元に、ここまでご紹介の安全装置の作動原因の特定と復旧方法を確認しましょう。
※下記にてノーリツ/リンナイのメーカー別エラーコード一覧のご紹介をさせていただいておりますのでご参考にしてください。
【エラーコード ノーリツ】【エラーコード リンナイ】
尚、原因を解消してもエラー表示がされたままだったり安全装置が解除されない場合、リモコンのスイッチを入れなおしたり、ガス給湯器本体の電源コンセントを抜き差しする事によりリセットを行えます。
ガス給湯器の故障や不具合を疑う
ここまでご紹介の安全装置が作動する原因を確認・対処後にまだ再発する様であれば、ガス給湯器の故障や不具合を疑いましょう。
ガス給湯器は寿命が8~10年だといわれており、その間にガス給湯器内部の部品はもちろん、水配管やガス配管、ゴムパッキン等が劣化・老朽化し、結果的に水漏れやガス漏れの可能性が高まります。
これらはどの箇所でトラブルが発生しても、安全装置の作動に繋がります。ガス給湯器の経年劣化によって安全装置が作動した場合には、修理をしてもすぐにまた他の箇所が故障する可能性があります。
このため、設置から8年以上経過したガス給湯器が故障した場合は、修理よりも買い換えをお勧めします。無理に修理して使うよりも、長期的な目で見てお得になる可能性が高い期間の目安が「8年」です。この機会に、ぜひガス給湯器の製造年月日をチェックしてみて下さい。
最後にガス給湯器メーカーに連絡する
ガス給湯器が動かなくなったからといってつい自分で色々と操作したくなってしまいがちですが、知識がないとさらなる故障や事故を引き起こす危険性があります。
故障の再発や事故を起こさないためにも、必ずメーカーのカスタマーセンターに連絡をして下さい。
その際には、どのような状況で安全装置が作動したのかを詳しく伝えておきましょう。状況をはっきりさせることで、迅速かつ的確な対応が期待できます。
やってはいけないこと
ガス給湯器の安全装置が作動したときに、再点火は絶対に行ってはいけません。
基本的には安全装置が作動しているとロックがかかっており、給湯器の再点火はできなくなっています。しかし、メーカーや型式によっては再点火ができる場合もあります。ガス給湯器の内部に一酸化炭素が溜まっていた場合、再点火により爆発してしまう可能性もあります。必ず安全確認を行ってから使用を再開するようにしましょう。
まとめ
ガス給湯器の安全装置は文字通り「危機を安全に使用できるように」取り付けられているものです。ガス給湯器は簡単なトラブルの場合であれば操作パネルにエラーコードを出すだけのことも多いのですが、不完全燃焼のような危険な状態が発生すると安全装置を作動させます。メーカーによっては再使用禁止機能も作動させて、一切の動作を停止させるものもあります。
この様な際は、自力で何とかしようとするのではなく、できるだけ早くメーカーに問い合わせを行うようにして下さい。特に再使用禁止機能が起動した際には、メーカー側が操作しないと解除できない構造になっています。
突然お湯が使えず慌ててしまいがちですが、できる限りメーカーに対応を任せてしまうのが安全です。
また、安全装置が作動する前の「ちょっとした違和感」に気づけるとさらに安心がプラスされます。
この記事で紹介した以外でも気になることがあったら、すぐにメーカーや取り付けを行ってくれた施工業者に相談してみましょう。
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